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第一編 地域農政の基本的レールの敷設 (1997年) 第一節 三つの提案
―1997年から― 第一節 地域農政の小窓 第二節 初の「農政懇談会」 第三節 新たな「基本法」に向けて 第四節 農委組織改革の動き 第五節 いのちの空間 第六節 第六次産業(2000年)
第二編 新世紀からのカレント
第三編 建議と提議 そのJ
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1997年「 三つの提案」 もくじに戻る
歴史的には、戦後の農地改革から生まれた農地委員会は自作農主義をモットーに家族労作経営を推進してきた。
が、高度経済成長期の現行農業基本法下に於ける農業委員会への転換が行われ、
農工間所得格差解消のための自立経営の育成と協業化の促進を目指した構造改善政策の推進にその重点が移行してきた。
けれども、点的には自立経営の萌芽が多少見られるものの、
面的には一層の兼業化が加速し、協業化も止まり進まないというのが現実の姿である。
しかも、その後、深刻化した国内経済の長期的低迷と貿易自由化など国際経済の激変、グローバルな環境破壊の進行と
それに連動する世界的食料恐慌の問題、それにもかかわらず日本の減反政策は推し進められ、
次第に農村の社会的地位は低落の一途を辿り、なかでも中山間地域は過疎化・高齢化による衰弱が顕著となる一方である。
こうして、日々、限界集落が目前に迫りつつある。今や集落機能崩壊の兆しと比例する耕作放棄・荒廃農地の増加、さらに加えて、
水田を中心とする農業生態系の壊滅も近未来的に予測される状況下にある。
現在、これらを踏まえ農業基本法の見直し作業が行われているが、
それは、二十一世紀の日本の農村・農業の行方を左右する最重要課題である。
農業委員会も、この現状を正確に認識した、緊張感のある対応が強く求められている。
さもなくば、委員会の機能は麻痔し、本来の目的を到底達成することはできない。
そこで、農村現場のニーズに応えるべき委員会が当面している課題へのひとつの足掛かりとして、ここに三つの方途を提案する。
● 第一点
農業委員会に関する法律第6条2項のB号、C号、D号の適用による業務その新たなる設定と遂行のため
「窪川町農政定期協議」 (−農民の立場からの農業・農村に関する団体・機関間調整のために−)の開催
構成と会議 ∇農委、農協、町(議会、執行部)3者代表者会議 2〜3ケ月に一回
課題と内容 ∇情報交換(特に新農業基本法改正の動きなど)
∇意見交換(自治体農政の在り方、農協運営の方向など)
∇研修企画(農業公社問題、農地政策問題、総合土地利用計画問題など)
● 第2点
農集委員会に関する法律第6条2項E号に基づく業務のため 『窪川町農業委員会だより』の発行
発行 ∇当面『広報くぼかわ』の誌面によることとする
内容 ∇メインテーマに、上記「定期協議」の記事
∇恒常的なものに、農業委員による所感雑感の記事
関係諸法律のひとこと解説、農地関係制度解説など
∇時事的なものに、時々の調査についての要約報告、計画審議過程の分表など
● 第3点
農業委員会に関する法律業6条3項に基づく業務のため、「地域農政審議会」(仮称)機能の発揮
趣旨 ∇窪川町農業・農村総合計画の方向とその在り方を農業委員としての観点から、 審議出来る機会と調査研究、
および発言権の樹立必要
∇諮問される能力を培養すること
∇答申については議論を公開すること
∇建議に際しては公表することが不可欠
● その他
定例総会の持ち方
∇自由な論議と委員間交流の促進にために、委員持ち寄りの議題がほしい。
その場合、毎月の事務局会までに通知すること
∇流動する農政状況を知るために、町内外の関係機関からの、情報提供が望ましい。
招聘は事務局が段どって貰いたい
以上は、1997年(平成9年4月7日)に於ける窪川町農業委員会・組織協議の席上、および、
同年5月30日での定例総会において、私の発言・提起した、「三つの提案」をまとめたものである。
1997年( 平成9年6月23日) 窪川町農業委員会委員 市 川 和 男
第一節 地域農政の小窓
◆「農業委員会便りをできるだけ定期的に出してゆこう」ということになりました。
これは、その先行的な試みですが、ともかく第一号です。
◆ところで、「農業委員会は大体何をしゆうがやろう」との声も聞かれます。
◆そこで、農業委員会の四つの仕事について概略まとめてみます。
★ 一番目は、地域農業と農業経営の基盤である農地の領域を、耕作するものが農地を持つという原則(農地法)によって守る
「農地の番人」としての仕事です。
★ 二番目は、農地の有効利用と農業の経営改善をすすめ、秩序ある土地利用(利用権の確立や
農作業受委託の仕組みづくりなど含め)の方向づけによる地域農業の振興を図る仕事です。
★ 三番目が、「窪川町の農業をどういう方向にもってゆくのか、そのためにはどんな施策が必要なのか、
それを具体的に推進する体制はどのようにするのか」といったことなどについて、
法律にもとづく唯一の、農家の利益を代表する農政機関として地域農政活動を行うことです。
(町長への建議や要望、自治体農政の支援と推進など)
★ 四番目には、農家の経営と暮らしを守る「相談役」としての仕事です。
(例えば農業者年金制度資金、高齢者問題、後継者・担い手育成対策など)
◆いま、農業と農村の再構築に向かって全国農業会議でも新基本法への動きが盛り上がっています。
◆同会議の農水大臣への答申は、
@農業の人材確保と経営者の養成、農業経営の安定
A農地の確保・保全と流動化の推進、有効利用
B国民共有の空間としての農村の総合的・計画的な整備。
この三つの柱となっていますが、今こそ農業・農村の多面的で地球的な価値を正しく評価する国民運動にまで発展させたいものです。
◆農用地の荒廃、穀物を中心とする世界的食料不足、農山村の持続の困難性とその荒廃の危機など、
未来からの警告が届いているにも かかわらず、今年はまた、これまでにない減反政策が押し寄せてきています。
◆この相反する矛盾の谷底であえぐのは、特に当町のような中山間地域の農家であり住民です。
◆当農業委員会は、そのさなかにあって、さきの四つの仕事を一層強力に、かつ誠心誠意果たさねばなりません。
◆新しき年に際し、地域の皆様と農家各位のご指導とご協力、そして一丸となったご支援を委員一同お願いします。
1997年 (平成9年11月執筆・農委広報委員長 市 川 和 男)
第二節 初の「窪川町農政懇談会」開催
平成は十年の春四月−−。
新たな減反強化の波が立ち、農業基本法の根本的な見直しの動きが活発化するなか、町役場三階に窪川町農業委員会の呼びかけで、
窪川町長、窪川町議会の議長、産業経済委員長、JA四万十代表ら十一名が参集しました。
四月十三日の午後、初めて開催された「窪川町農政懇談会」です。
日々刻々きびしさを増す典型的な中山間地域である本町はもうすでに超高齢化社会に突入しようとしており、
農業情勢は混迷の度を深めて止まない不透明感の渦中にあって、関係団体・機関の代表者がそこからの出口を求めての集いでありました。
その主旨はーー
「国内経済の長期的低迷と貿易の自由化など国際経済の激変、グローバルな環境破壊の進行とそれに連動する世界的食料恐慌の問題
、それにもかかわらず日本の減反政策は推し進められ、次第に農村の社会的地位は低落の一途を辿り、なかでも中山間地域は過疎化・高
齢化による衰弱が顕著となる一方である。
また耕作放棄・荒廃農地の増加、さらに加えて水田を中心とする農業生態系の壊滅も近未来的予想される状況下にある。
現在農業基本法の見直し作業が行われているが、それは、二十一世紀の日本の農村・農業の行方を左右する最重要課題である。
本町農業委員会も、この現状を正確に認識し、緊張感のある対応が強く求められている」
(窪川町農業委員会・提言)
との観点から、農村現場のニーズに応えるべく《地域農政定期協議》を提案するというものでした。
この席上、暗き情勢のなかにも曙光を探り求めての発言がそれぞれの立場からありました。
窪川町農業の現状と展望についての意見交流では、次のような取り組むべき課題が出されました。
@ 土地の多面的有機的活用と土地利用型農業の新しい展開の姿
A 後継者や担い手の育成方策
B 高齢者農業の育成と福祉活動
C 集団的営農組織や集落営農の 育成プログラム
D 家族農業経営の保護と存続対策
E 生産と販売のセッチング指導
F 農畜産物の高付加価値づくり
G 農業機械銀行と農地銀行の制度的強化
H 農村花嫁対策(結婚相談事業)
I 新基本法への四つの問題と意見・要望
これらの事については、すでに試行されているものもあり、
かつ、技術的行政的指導研究合同組織としての営農協議会などで取り組んでいる事柄もあります。
それら期待されるアクションを見守りながら、
この農政懇談会は窪川町長をはじめとする関係団体・機関を代表する責任者の意志疎通を図り、
政治的行政的運営的角度から
「いま何を優先させるのか」
「お互いが何に力を合わせるか」
を率直に話し合い意思統一を図りたい。
そのためにこの会合を一過性にせず、継続的定期的にもつことが、前田町長ほか出席者一同により申し合わされました。
1998年 (平成10年7月執筆・以下、前記に同じ)
第三節 新たな「基本法」に向けて
新たな「食料・農業・農村基本法」の制定に向けては、本問題に関する総理大臣の諮問を受け検討を重ねている「基本問題調査会」
(会長・木村尚三郎 ・東大名誉教授)の動きと併せ、農業委員会系統組織の運動も、全国JA組織と共に活発化しています。
新基本法を制定するのには、大きく三つの柱が重要な問題です。
一つは食料の国内生産・自給率の問題です。
先進国の中で最低の水準にあるわが国の食料自給率(カロリーベース)四二%を、古来からの「身土不二」の考え方からすれば、
100%が本当ですが、現在の国際化社会にあってもせめて欧州並みの七十%前後に引き上げることを、この際、政策目標とすべきです。
確実に想定される世界的な食料の需給ひっ迫のなかで、
自給率の極めて低い日本の食料価格は急上昇する可能性がもっとも高い(その場合4割ほどの上昇が予測されれいる)からです。
二つ目は農地制度の問題です。
世界の人口は一九五〇年には二十五億人であったのが、一九九四年に五十四億人となりました。
やがて二〇〇〇年には六十億人、そして二〇二五年には八〇億人を突破すると言われています。
その一方で、耕地面積の拡大は一九六〇年から頭打ちとなり、しかも高収量品種での供給増加も天井に近づき、
これまでの技術開発の蓄積さえも使い果たしていると識者は指摘しています。
日本の農地総量の確保は、世界情勢からも最重要課題です。特に日本の水田は極めて生産性が高く、かつ国土保全のチヤンピヨンです。
この優良農地の保全と農用地利用の厳正・公平な仕組みの維持は至上命題です。
この観点からも株式会社の農地取得による農業参入は到底認められません。
三つ目は中山間地域を中心とする農村地域政策の方向性の問題です。
遥か遠く弥生時代を長く体験し、瑞穂の国といわれた日本の伝統的文化・風土を構築してきたのは、やはり農耕文化です。
その香りをいまなお残しているのは条件不利地域とされている山紫水明の中山間地域です。
日本人の心のふるさととして、そこに暮らし、日本固有の景観を守り、国土や自然環境の保全に努め、水資源涵養を円滑にする人々。
その人々の農林業活動などに国民的合意を喚起しながら、公的な支援を行うことが、安定した将来に向け極めて大切です。
また、そこに定住できる国民共有のふるさととして、
日本の風土に根ざした消してはならない伝統と文化を保存し、安全な農林業生産を保障し、
清浄な山河・自然と共生する地域空間を保護するため、農山村を総合的・計画的に整備・保全する制度がいまや強く求められます。
ところで、さきの「基本問題調査会」の視点は次の五つに要約されています。
1、食料供給の安定は国民生活の基盤である。
2、農地と森林は水をはぐくみ国土をつくる。
3、二十一世紀は持続的社会の形成が求められている。
4、人口、食料、環境、エネルギー問題は地球的規模の問題である。
5、経済社会全体にわたる変化が進行する。
以上の基本的視点から、昨年の十二月に当調査会は、検討結果の「中間とりまとめ」を公表しました。
そのなかの《持続的な社会の形成が求められる二十一世紀》に記述された次の方向には賛意を表し、かつ、
これからの具体化を大いに期待したいと思います。
すなわちそれは
「ーー人間の生命と健康は食料によって支えられる。
そして、この食料を産み出す農業生産は、土、水、生物などの自然の有する再生産機能を基礎とする活動として、
持続的な社会を築いていく上で基本となるべきものである。食と農に関わる活動、
そして教育を通じて人々が自然を慈しみ、食べ物を大切にし、人と自然の美しい関わりに留意する感覚を回復し、
《くらしといのち》の安全と安心を確立していくことがこれからは特に重要である。ーー」
というものです。
1998年 (平成10年7月執筆・以下前記に同じ)
第四節 農委組織改革の動き(1998年)
農業委員会は、昭和二十六年に当時の農地委員会、農業調整委員会、農業改良委員会の三つを統合してスタートしました。
戦後生まれたいくつかの行政委員会のなかで、今日に至るまで公選制を維持し民主的な形を保っているのは農業委員会だけです。
行政的には農地法に基づき地域の農地を農家自身で自主管理する合議体です。
もう一面は公的に認められた唯一の農業・農家の利益代表機関という重要な性格をもっております。
この農業委員会制度も発足後、農地・農業をめぐる社会的変革の背景のなかで、
昭和二十九年、昭和三十二年、昭和五十五年と三度にわたる大きな法律改正が行われました。
さらに平成元年、農用地利用増進法の改正のなかで農業委員会の果たすべき新たな役割が明確化されました。
いま「新たな基本法」論議が起こり、
農業委員会組織の制度的問題と今後の在り方が各方面から抜本的に種々提起されています。
それは概ねーー
@ 農地制度の在り方から見たもの
A 地域農業の再構築への取り組みから見たもの
B 行政改革・地方分権から見たもの、などです。
全国農業会議所会長を本部長とする「農業委員会組織制度改革対策本部」では、
農地政策と担い手・経営政策を一体とした構造政策を地域の実態に即して推進する体制の整備を、
政府・国会など各方面に要請することになりました。
具体的にはーー
@ 農業委員会が農業者の代表による行政委員会として、地域の秩序ある農地利用を守るために農地制度の厳正な執行を担うこと
A 地域の農業者の代表としての農業委員の《世話役》活動を積極的に位置付け市町村行政と一体的に取り組む体制の整備を図ること
B 地域農業の再構築を加速するため、構造政策推進のセンター機能としてより具体的な役割が果たせる体制の整備を急ぐこと
C 自ら経済事業を行わない農政指導組織の立場で、農業者の代表として意見の公表や建議・諮問答申を行う役割の確保を図ること
以上の四点を「対策本部」は強調し、その実現のため、農業委員会・系統組織をあげた「三つの運動」すなわちーー
● 二十一世紀に夢がもてる新たな基本法農政を確立する運動
● 農地を守り、地域農業の再構築を進める実践活動を徹底する運動
● 時代の変化に対応し得る組織制度の改革に向けた運動
への取り組みを呼びかけています。
農業を基幹産業とする窪川町の地域的発展のため、町民こぞって一層のご協力をお願いします。
1998年(平成10年10月執筆・以下前記に同じ)
第五節 いのちの空間・山紫水明 (1999年)
◆かって窪川町内の関係団体・機関で構成していた「農村開発整備協議会」というリサーチ・プランニングの組織があった。
そこでは昭和五十年代初頭、『窪川町農村空間整備計画』を立てた。
◆それは農村の復権と、自然と人間のよりよい関係が育つ《生の空間・育のわが里づくり》を住民主体で行う構想計画であった。
◆この農村空間整備の発想が二十数年を経た今ようやく市民権を得たような気がする。
少なくともその延長方向に国の農村政策がクローズアップされてきた。
◆すなわち、基本問題調査会答申での「美しく住みよい農村空間の創造」であり、それを受けた農政改革大綱の
「農村の自然と伝統文化を活かした田園空間整備の促進」。そして「田園空間整備事業」の創設等々の流れだ。
◆また、二十一世紀の国土のグランドデザインを踏まえた
『生活空間倍増プラン』における
《遊空間・田園空間・健康空間の拡大》の方向のなかにも、
「ー豊かな自然と文化等にあふれた田園空間の環境整備とその利活用のための条件整備を進める」
とある。
◆『水と緑の国、日本』の著者・富山和子立正大学教授は、
「日本の森林は米のもと、水と土を作った。が、その森林を作ったのは米であった。」
と整理しているという。
そして
「先祖たちが現代に贈ってくれたこの国の山紫水明を、世界の財産として次代に引き継がせねばならないと思う」
と同書を結ぶ。
ずっしり、この地と心に響くような言葉である。
1999年 (平成11年7月執筆・以下前記に同じ)
第六節 「第6次産業」 (2000年)
「田」に、「心」を加えて、「思う」だ。
田に水をやると水田。
それが稲をつくる。
水源の森と田を結ぶのが河だ。
その河に棲んでいた童(わらべ)というのが「河童」である。
この河の童、なかなかの悪戯っ子であった。ここでは、河童のことを「猿猴」(エンコー)という。
「エンコーと相撲を取った」
「悪さをするとエンコーが、河の淵へ引きずり込むぞ」などと、
子どもたちにとって、エンコーは身近かであった。
こころのどこかの原郷に、その影を落としているバーチャル名存在。それにまつわる四万十川の物語り。
四万十川と農業の原郷風景。
私たちは、エンコーという懐かしい架空の動物に、それを語ってもらいたいのである。
それは、単なるノスタルジーではない。
ふと、そこに、二十一世紀の四万十川の田園風景を見つけるような気がするからだ。
自然の象徴としての川。そこから生まれる農の文化。
とにかく、ここらで、ひとつの「四万十農業の物語性をつくりたい」のである。
今年の二月一日、日本農業法人協会は「二十一世紀わが国農業のビジョンと提案」をとりまとめた。
そのなかで、従来型の農業を転換し、第六次産業という「生命総合産業」の方向を打ち出している。
これまでの生産活動に、加工、販売、交流などを組み合わせる経営の多角化だ。
つまり、一次・二次・三次産業を連結させる第六次産業を創造するという発想である。
私たちも、四万十川流域における生産活動に加え、
地域の伝統的な文化の香りや農産品の物語性を付加する情報産業的活動を振興することが、
窪川町農村の活力再生への原動力になると思うのである。
2000年 (平成12年2月14日執筆・以下前記に同じ)
第三章 「県農業施策に関する建議」に係る意見 (1999年) もくじに戻る
二十一世紀を目前に、地滑り的な変化のなかで我々は戦後最大の農政転換の時を迎える。
平成十一年三月九日、政府は、「食料・農業・農村基本法案」を閣議決定し、国会に提出した。
高知県農業も、ひとしく根本的な見直しの時期に入っている。
典型的な中山間地域に立地した窪川町における農業も、今すでに集落崩壊の兆しと営農的危機、
日々進む高齢化と担い手不足のなかで、
これまでの基本法農政下の概念では問題解決能力を発揮することは出来なくなっている。
だが、新基本法に、その危機回避と救農の可能性を如何程期待出来るのかは未だ不明である。
目標は定められても、それに至る過程と時系列方策が明確化されなくてはならない。
以上の観点から
農業委員会法第四十条第二項に基づく今回の建議に際し、私は、検討すべき事項のうち、
下記の事柄について、課題提起を行うものである。
(1)農業構造政策の推進
1、「農業の工業化」を基本理念とする従来型の主産地形成・単一的規模拡大に焦点を合わせた、画一的な圃場整備ではなく、
自然生態系や土地条件に即した弾力的で多様性が確保される事業展開方法が必要である。
2、従来の担い手への単線的な利用集積は、現実的に困難を生じているので、
むしろ自然発生的な相互扶助的誘導策を多面的に用意する必要がある。
(2)地域農業振興対策の推進
集落営農組織の育成対策
1、本来的に多種多様であるべき集落の個性を養育する「集落(ムラ)づくり構想」を自主的・自律的に描くための、
手軽なソフト事業の創設とその支援措置を講じること。
2、「集落総合整備事業」を立体的に展開できる新たな補助事業に真正面から取り組む方向性の確立が必要である。
学校給食への取り組みと対策
1、外部経済効果を齎すものとして学校給食推進事業を位置付け、農業施策部門と学校・社会教育部門の合同プロジェクトとして取り
組む実働体制を立ち上げること。
2 当地域としては、四万十米、大豆加工産品、畜産物の1・5次産品、などの利活用を中軸に、
各小学校区単位の集落コミュニテイ活性化を同時併行できる仕組みの工夫が必要である。。
(3) 中山間地域対策の推進
@ 中山間地域における転作対応
◎ もはや、転作の概念は通じない。
米の関税化後、転作誘導のためにする補助事業採択の際のペナルチィは断固廃止すべきである。
◎ 「真の農業とは何か」を、今一度、実践的に考えるべき時代に来ている。
◎ 多品目・非市場品目をも含めた、ポスト主産地形成にシフトすべきである。
山襞に応 じた作目と伝統的加工技術の復活は、
中山間地域の文化的公共空間としての新たなる 価値創造に繋がる。
◎ 国土環境の保全と育成に合わせ、次世代の農耕文化創造への具体的方策展開が緊要で ある。
◎ 新基本法下では、特にJAは、組合員不在に近い空洞的な合併よりも、協同の基本理 念に立ち返り、
そのよって立つ足元で果たすべき役割の方が極めて大きい。
(4)総合的な地域整備対策
◎ 自然と伝統を踏まえて、先ず水土の文化を再生する中長期的な農山村空間整備の方向 性が確定されなければらない。
◎ 当地域としては、四万十田園空間の創造的整備が、風土の命ずる課題である。
その手段には新たな「農村計画法」などの適用もあろうが、ともあれ地域の総合的土 地利用のうえに、
土地基盤整備・生活環境整備・農山村文化活動の推進が立体交差的 に組み合わされるよう施策メニューを
用意し、住民の自由な事業展開を行政的に支援・ 誘導する必要がある。
(5)地域農政の課題
◎ 農山村地域の多面的公共機能とは、畢竟、当該地域にとってそれは社会的復権の武器でもある。
地方分権思想(地域主義)の流れとは無縁の、疑似的な分権政策に振り回されてはならないと思う。
それがまず第一点。
◎ 地域の自律性を制度として担保することが、第二点。
◎ 第三点は、大地に宿る生命の視座に向かって、現代社会の尺度を、地域から転換さ せ得る発信基地たること。
以上、1999年(平成11年)高知県農政への建議に際し、
農業委員会系統組織として検討すべき方向や事項を提起する。
市 川 和 男
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第四章 新千年紀の農業委員の使命 もくじに戻る
このごろ、「集落」という言葉が多く見受けられるようになった。
たとえば、限界集落、集落崩壊、集落営農、そして集落再生などーー。
それはこれまでの集落の存続の危機を告げているのだが、果たしてその実体はどうなっているのか、いったいその根源は何にあるのだろうか。
過疎、兼業化、高齢化、少子化、加えて価値観の多様化の波の中で、集落自治の維持が困難に遭遇している。
自らが治める力を失うとき、自ら耕す能力も失うのであり、農用地の荒廃はその象徴だ。
ともあれ、現状のコップのなかで、新しい自治を模索しなくてはならない段階にあるのは確かだ。
いわば、ニュー・ミレニアムに通用する集落自治の在り方が問われているのである。
そこで思い浮かぶのが、小学生の頃、教科書にあった『いなむらの火』。
村が山津波に襲われる寸前
「いなぐろ」に火を放ち危険を知らせ村人のいのちを救った「肝いり」さんの苦渋に満ちた決断までのいきさつの話であった。
「肝いり」とは
《仲に入って世話をしたり、間をまとめるため骨を折ったりすること。そういう人。世話人。心をあれこれと使って骨を折る意から》
(岩波国語辞典)とある。
また「下知(げぢ)人」とは《指図する人。 言いつけをする人。》であるが、
このふたつの役目を担う人が、今でいう集落には必ずいて、
当時の村落共同体を支え、村の発展と維持には相互扶助制度としての「ユイ」があり、
実はそこで徹底した日本型の民主主義が行われていたのである。
村が自らの命運をかけた共同という連帯をつくりあげるには、むらびと個々の本心から生まれる合意形成が何よりも大切だったからだ。
歴史は繰り返すというが、二十一世紀に入ろうとする今、再び、新しい「共同」の姿と絆が求められている。
共同の力が発揮できるのは、自治の力のほかにない。
集落の危機が迫るなか、ニュー・ミレニアム(新千年紀)での農業委員の果たすべき使命は、
農業の構造転換や全体的な農用地の利用・管理は当然のことながらも、
とりわけ、集落自治再生のプランとアクションを促進することであろう。
多彩な価値観をもつ現代的な「個」の確立にうえに、それらを包み込む、新たな「公」の構築であり、
ここ四万十の自然のなかで、自他共に生きるという草の根の地味な「共生」のための運動の展開なのではないだろうか。
農の里 芽吹きもとめて 朝明ける 二〇〇〇年弥生三月 市川
第五章 1999年(平成十一年度)・農政懇談会のテーマ もくじに戻る
農業現場からの自由な視点での問題提起を基調に
1、中山間地域・直接支払制度について
新たな基本法制定の運動過程における視点を堅持し、中山間地域の総合的な農林業振興対策を
どのように進めるか。
例えば、それが直接支払い枠内に止まってはならない。
2、農用地保全・維持対策について
国家的見地からも優良農地の確保は絶対必要であるが、
高齢化の振興は、それを困難にしており、ひとつにはその防波堤として集落営農の推進が大きく浮上している。
農地流動化・利用集積目標の達成に向け、農業委員会系統組織は「地域農業再生運動」を展開しようとしている。
しかし、現状を見る限り、
集落の営農組織への公的資金による下支えがなくては、すこぶる無理な状況におかれている。
そこで、諸般の具体的方策をどうするのか。
3、窪川町農業公社の姿について
4、新水田対策について
生産調整に代わる新制度への関心と不安があるが、土地利用型農業の窪川町における持続的発展は、
如何に行われ得るのか。 まず、平成十二年度の取り組みの基本姿勢について。
以上の懸案についての情報交換を行うこととしたい。
(平成11年10月13日・農政懇談会常任司会者 市 川 和 男)
第一章 2000年 会長および議長就任の所信表明と就任初年度総括
2000年4月27日総会
農業委員会等に関する法律第21条第1項の規定により、総会は会長が招集し、また、窪川町農業委員会・会議規則により、
総会の議長は、会長が当たることとなっております。
そこで会議の始まり当たり、議長としてのご挨拶を申し上げます。
去る10日の組織会で、私が、未熟かつ微力ながら、大役をお受け致しまた。
が、現下の大変きびしい農業情勢のなかで誠に身の引き締まる思いの日々であります。
しかしながら、「共に考え合い、お互いに力を合わせ行動する委員会」としての運営に、誠心誠意努めて参る所存でありますので、
何分とも委員各位のご理解と、挙ってのご協力を賜りたく、ここに改めてお願いを申し上げる次第であります。
さて、議事に入る前に、農業委員会の性格や、その「使命と仕事」、
そして会議の運営につきまして、その骨格をごくかいつまんで申し述べて置きたいと存じます。
この場で、まず第1に申し上げたいことは、農業委員会の二つの基本的性格であります。
その一つは法律に基づき市町村に置かれた《合議制の行政機関》だということです。
言うまでもなく合議制の機関と云いますのは、一人一人の委員は、単にその機関を構成する一員でありまして、
一人の委員独自には、その機関に与えられた機能を行使することは出来ません。
あくまで構成委員の全員がよく相談して出した一つの結論が、はじめてその《機関の意志》として定められ、
与えられた権限が行使でき、行政・業務が執行されるという仕組みのものであります。
二つ目は、唯一、法律によって認められた《農業者の公的な利益代表機関》だということです。
農業協同組合法など農業関係諸団体に関する諸法律のなかでも、最も純然たる農業者の立場を、行政などに反映され得るよう、
法的に保証されているのが、農業委員会制度のひとつの特徴でもあります。
そこで、この第一の基本的性格であります《合議制の行政機関》としての、基盤となる仕事のひとつが、農地行政の適正な執行であります。
具体的には、「耕作する者が農地をもつ原則」すなわち自作農主義の立場に立った農地法第3条に基づき、農地の権利を移動する業務。
その関連で「農地の領域を守り、土地利用を秩序だてる」ための、
農業振興地域の整備に関する法律や農地法第4条・5条等に基づく、不法な転用の防止、無秩序な転用の排除など、
農地転用に関する業務。
さらに、農地に係わります色々な「権利の公的な管理や調整」のために、
農家・農地台帳等を整えまして、売り買い、貸し借り、つまり所有権の移転や賃借権の設定などの円滑化を図ること。
そして特に優良農地を保全し確保すること、またさらに申し出によりまして農地紛争を仲介することなどの業務等々。
これら1、2、3、の仕事を簡単に言いますと「農地の番人、権利の守り手」としての仕事ですが、
従来からのこのような業務を基盤としながら、激変する農業・農村情勢のもとで、
《地域農業の確立に向けての総合的取り組み》が新たな使命として課せられております。
二つ目の仕事として、地域農業の構造改革の推進があります。
例えば、農業経営基盤強化促進法に基づく、経営改善のための農用地の利用集積、
そして地域農業の担い手の育成や確保についての業務などであります。
これらに加えまして、食料・農業・農村基本法のもと「食料の安定供給の確保」や「農業の多面的機能の発揮」、
なかでも「中山間地域対策」などへの、農業者の主体的な対応をどのようにして行うべきかの問題。
また、就農人口の高齢化と農地保全への対応としての、いわゆる「集落営農」の支援の問題。
さらに、限界集落に近づいている現状を踏まえての、土地利用・管理の新しいルールづくりの問題などーー。
これら従来の農業委員会の予算では、到底身にあまる程の検討審議すべき諸課題が、数多いのも現実であります。
が、しかし、ともあれ農地の保全と有効利用を進め、経営構造の改善を図る方向のなかで、
「地域の担い手・集落の守り手」を確保し育成することは、何と言っても農業委員会における喫緊の責務であります。
三つ目は、このところ、特に大切になって参りましたが、
農業委員会の基本的性格の一方の柱である「農業者の公的な利益代表機関」としての役割を全面的に打ち出した仕事であります。
具体的には、分権の時代と言われる21世紀の、初頭乃至前半における自治体農政を前進させるための、
農民の立場からの農政活動であります。
つまり、現場の声を、行政庁そして政策に反映させる建議や、地域・集落の農業をどういう方向にもって行くのか、と言ったことなどを、
自らがお互いに話し合い、意見を公表するための部会活動、並びに広報活動であります。
そして日常的な相談活動など肝入りさんのような「地域の世話役」の仕事です。
窪川町の農業委員会としましてはこのように、一般的な基本的業務を基礎にしながら、
私ども四万十農業エリアの「人と土地」を守り、育て、個性と活力のある発展的な「地域農業再生運動」に貢献したいと考えます。
「共に考え合い、力を合わせ行動する委員会」
を合言葉に、本町独自の主体的で能動的な 「目に見える農業委員会の姿」を立ち上げて行く道を、きびしくとも、また楽しく、
一緒に手を携えて歩んで参りたいと念ずるものであります。
今期の初会ゆえ、前段が長くなりましたが、これより、議事に入りたいと思いますが、会議の持ち方につきましては、
御手許の窪川町農業委員会会議規則に従って運営しますので、お目通しをお願いします。
なお、あらかじめお断り致しますが、
農業委員会法では、委員は、自分または自分と同居の親族、若しくは同居の親族の配偶者に関係する事項に限り、
総会の議事に加わることが出来ません。
従って、法第24条によって、審議の場から退席することが定められております。
その際は、議長より、その旨を申し上げますので、ご承知おき下さい。
また総会での発言は、着席のままで結構ですが、提出された議題については自由に出来ますので、必ず議長の許可を受けて行って下さい。
なお、言うまでもなく正場での発言はすべて議事録に記載されますので、静粛を保ち、私語は謹んで頂くようお願いします。
少休中は、その限りではありません。 休憩の際は、席を立って頂いて結構です。
最後にもう一つ。
「日程・その他」も議事になりますが、
すべて一度可決された議案は、その会期中の間は、再び審議し、議決することは出来ません。
これを「一事不再議の原則」といいます。
本委員会におきましても、これまでの経過を踏まえ、この原則が、常識的に準用されるものと考えておりますのでお含みおき下さい。
新しい委員さんを年頭に色々申し上げましたが、お互いにご確認をお願いします。
それではこれより、日程に従い、議事に移ります。
2000年4月27日 市川 和男
新たな世紀の幕開け
今世紀の幕があけ、新たな展望がそれぞれに語られております。
が、ともあれ、グローバル化の進展は、 先ず間違いなく顕著になるでありましょう。
そこから「地球民主主義」という言葉も見受けられるようになりました。
なかでも、私が特に注目したのは、 20世紀までと21世紀とでは、人間の圏域と、それを取り巻く地球システムとの関係が
全く異なるという見解であります。(地球物理学・惑星物理学者で<地球倫理へ>の著者、松井たかふみ)
地球環境問題、資源エネルギー問題、食料問題、人口問題など、深刻な、負の作用とのわれわれの関係であります。
21世紀は、つまりは環境の世紀とわれています。
この環境の世紀にあって、まさに「田園の総合的な力」が問われているのであります。
地球時代にあって、農村・農業の多面的な機能を果たす役割が、われわれにはあります。
世界に開かれた地域・農村づくり、つまりは、四万十環境保全型農業の発展と「四万十化」自然景観を保全・育成する農村形成や、
その持続的発展ヘの道を切り拓くことが、21世紀初頭に於ける私ども窪川町農業委員会の最大の使命ではないかと思うのであります。
この線上のもと、お互いに力を合わせ、 共に考え行動する委員会に向かって、着実な一歩一歩を進めたいと思います。
日々厳しさを増す中にあって、どうか、いっそうの強い連帯とご協力をお願い申し上げる次第であります。
(2001年1月定例総会にて)
平成12年度農政活動の総括と13年度活動への取り組みについて
平成12年度の本委員会農政活動の重点は、委員各位の意向・意見を土台とした「緊急12項目提言」でありました。
この提言は、昨年12月1日、本委員会を代表して建議小委員同席のうえ、窪川町長に対して直接、同文書の逐条説明
を行い手渡しました。
これに対する窪川町行政当局の反応は、全体的な印象としては、真正面から、大変真摯に、受け止められているものと思います。
一例を挙げれば、
本年3月町議会において可決されました「第4次窪川町総合振興計画」のなかでの、重点施策のひとつである
「環境保全型農業推進プラン」などへの反映。
また「農業経営基盤の強化に関する基本的な構想」での認定農業者の条件緩和措置の一定の実現、
さらには窪川町農業公社の検討過程の透明性の確保等、本町農業行政諸計画に、私たちの「農委・提言」は、
高く評価され、各範にわたり活用されているものと考えます。
また平成13年度当初予算への反映も、幾多あるものと存じますが、正式には新年度の始まった4月定例総会の席上、
窪川町長が出席して「窪川町農業政策に関する緊急提言について」という問題提起に対して、これからの取り組みや抱負を
込めて回答を受ける段取りであります。
現下の状況は、米価の低落に追従する全国的な農地の地価低落傾向、
またネギ、生シイタケ、イグサなどへの一般セーフガード発動が政治的現実化するなど深刻ではありますが、
今後の日常的な農政諸活動につきましても、委員各位挙っての、積極的な取り組みをお願い申し上げます。
新しい世紀は、大きく価値観が転換する世紀でもあります。改めて水の大切さと共に米の見直されることも期待感も込めて
ではありますが予想されます。
このとき私たちは何を為すべきか。という観点から、
窪川町地域農政推進上、期待されております「21世紀地域農政への建議」を取り纏め、いわゆる、第2弾としての
「農委提言」を行うことが出来ますよう、全面的な相互協力と、相共に、一層のご努力をお願い申し上げる次第であります。
(2001年2月定例総会にて)
ーーー 共に考え合い、力を合わせ行動する委員会としてのレールづくりーーー
その1、部会活動の強化
各部会での共通的な取り組みのために
@ 窪川町農業の現状に於ける最大の問題点は何か。
A その問題点はどのようにしたら克服出来るのか。
B 窪川町の農業政策で最も必要なものは何か。
※ 以上を参考に、各委員に自由な発言や提言メモ(箇条書き)を求める。
※ それを、部会内部で調整し纏め、活動テーマをピックアップ(文言化)する。
☆ 農政部会での、予想される課題
国政レベル
自給率向上対策
優良農地確保対策
農業の多面的機能の発揮のための方策など
県政レベル
生産調整ガイドライン問題
県単独事業の在り方など
町政レベル
中山間地域対策への本町の取り組み方
集落営農の推進対策
☆ 農業振興部会での、予想される課題
高齢化に対応する収益作目の検討
総合的地域農業振興方策の検討
認定農業者との対話集会の開催
自給的農業者との対話集会の開催
専・兼協調集落農業組織の育成方策の検討
四万十農業の物語性の創出提言等
☆ 農業委員会系統組織レベル(両部会共通事項)
農業委員会制度見直し問題への対応
新基本法の理念と現実とのギャップに対する検討
(農業会議とJA組織の合同協議による総括)
地域農業再生運動の具体策の提示、など
その2、広報活動の強化
広報委員会の組織拡充
両部会からそれぞれ3名を選任し、正副広報委員長を互選する。
「農業委員会だより」の発行、『広報くぼかわ』誌面に年2回掲載する。
臨時に「ガリ刷り」発行も検討する。
IT(情報技術)の活用を検討する。 例えば、ファックス、ホームページの開設など
その3、建議活動の展開
「21世紀窪川町農政提言作成小委員会」の設置(7月)
第三章 2000年(平成12年)農政懇談会懇談のテーマ もくじに戻る
2000年(平成12年)4月
J、四万十環境保全農業教育推進会議の創設について
〇 窪川町農政懇談会の構成に、窪川町教育委員会を加える。
〇 メインテーマ
★地場産品食材活用による学校給食の推進
★自然と農業の体験学習による“生きる力と心”を育む運動の展開
この二つを組み合わせた具体的なアクション・プロブラムづくりを中心として
K、中山間地域直接支払制度と生産調整ガイドラインの調整(切り離し措置)について
〇集落営農を進める集落協定の在り方の検討
〇新基本法の中山間地域農業現場での矛盾とその克服の問題協議
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2000年(平成12年)の農委管内概況と活動の一端 もくじに戻る
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第五章 新「基本法」への提言 もくじに戻る
(1) 農地の確保と有効利用のための政策提言
中山間地域にあっては、高齢化・兼業化の波は、近未来的に止まらない。
一方、価格政策を伴わない中での土地利用型認定農業者への農地流動化は、急速には進まない現状である。
従って、他産業労働市場からの遠隔地における農地の確保・遊休農地の歯止めは相互自助的な集落営農組織
によることが一層必要性を増すものと思われる。
その場合、すべてを集落にゆだねることは任務過多となり、集落のみでそれを支 えることは至難である。
農地の利用権の流動化を受け込む組織、農作業の受託組織として、市町村農業公 社を創設し、
それを維持するための公的支援が今後不可欠である。
世界的な穀類不足、食料安全保障など、国民的安心を担保するため、農地確保に対する公共的使命を果た
す市町村農業公社への新たな国の取り組みが必要であり、合わせて価格支持政策をも、今やさらに再考すべきであ
ると考える。
(2) 担い手の確保・育成のための政策提言
農山村地域総合政策、つまり農山村全域を生産と居住の融和・混合空間として保全・ 育成する方向での、
ムラ・集落の「守り手」こそ、いま確保すべきである。
浪費なき成長という角度、持続的安定成長が、21世紀の姿であると思われるが、そこでは、生存条件の快適性
への社会的追求が、例えば20世紀的な生産至上主義よりも優先されることによって、始めて「人」対策の果実を得
るものと考える。
産業主義に特化した農業政策から脱皮し、いわば全人教育的な地域政策への農政転 換が求められる。
そこでの各論構築のなかに、必然的に「担い手対策」を本物とするような展望が開ける筈である。
窪川町農業委員会 2000年6月
第六章 ニューミレニアム農委研修紀行 もくじに戻る
2000年8月8日
市 川 和 男
薄雲が盛夏の光線をやわらげていた。
視察にはもってこいの好天に恵まれていた。
2000年8月8日、この日の朝、町のマイクロバスは早朝の5時に出発した。
委員17名・事務局3名の一行20名である。
中国の山間地をバスはうねりくねって進む。みどりのどこまでも濃い中国山地の山並み。
そのなかにくっきりと浮き出たように家々が点在している。
いまさらのように日本の山水とその風土にあった暮らしの調和した美しさが目に焼き付いた。
大きな深い自然と歴史の美しさである。
広島県高宮町役場に着いた。午後1時少し前であった。
庁舎の立派な2階会議室で、同町の農業委員会事務局長(兼産業課長)の話を聞く。
スライドを映しての手慣れた説明である。
昭和47年の大水害で壊滅の危機に遭遇した村の立て直しに住民自らが立ち上がった「川根地区」の
ムラづくり運動を原点とし、それをモデルとした「高宮町ふるさと創生計画」。
それは平成2年の「全町公園化構想」という大胆な発想となり、八つの地域振興会が生まれ、
各振興会はそれぞれの地区のテーマを設定して、以後その実現を次々と図っている。
平成3年には、国土庁と農村開発企画委員会が主催する「農村アメニティ・コンクール」において
特別優秀賞を受け、昭和57年から平成6年までに、8っの住民組織である地域振興会が、
すべて県知事賞を受賞したという。
中国中山間地域の高宮町の平均標高は240メートル。
四国中山間地域の窪川町の平均標高は230メートル。(但し台地部)
高宮町の総面積は12、446ヘクタール。内農用地面積1、041ヘクタール。農業粗生産額25億。
窪川町の総面積は27、808ヘクタール。内農用地面積2、190ヘクタール。農用粗生産額79億。
高宮町の人口は 4、700人。世帯数は1、600戸。農家戸数は1、100戸。
窪川町の人口は15、523人。世帯数は5、851戸。農家戸数は1、576戸。(2000年センサス)
高宮町は80集落(行政区)。高齢化率40、5パーセント。(95年)
窪川町は96集落。 高齢化率27、0パーセント。
高宮町の圃場整備率94パーセント。
窪川町の圃場整備率51、3パーセント。
私はふと、窪川町農村開発整備協議会のことを思い出した。
奇しくも昭和47年は、窪川町農村を総体的にとらえ、長期的に展望しながら、必要な対策を樹立しようとして、
この会を衣替えした年度でもあった。
『窪川町農村空間整備計画』を立て、
ムラ自治を再生し、ムラのルネサンス(自然と共生する人間的文明の復興)を起こしながら
田園学習郷づくりをすすめるよう「農村コミュニティ育成プロジェクトチーム」を編成したのが、
昭和54年のことである。
その協議会では、地域整備・自治推進機構を実は定めていたのである。
それは、窪川町全域を基礎生活圏域ごとに十五のゾーンに分け、
それぞれに特性のある自治の発掘と再生、伝統的文化・技術の継承と再生、
新しい農村文化運動の推進やレクリエーションの場の設定、及び生産組織の育成、共同機械・施設の利用、
特に資源の循環的有効利用促進などを行おう方針であった。
それを目指して、各ゾーン毎に
「生産」「環境」「教育」の住民自主の部会づくりを行う《里づくり推進員》を協議会で委嘱し配していた。
また、この『窪川町農村空間整備構想計画』のなかの公共空間の整備には、
自然と景観の保全・育成を基本とした快適な地域環境創造のための
「地域公園化の推進」があったのも感慨深い。
これらは凍結されたまま時は流れ、いまここにきて隔世の感に打たれた。
高宮町では、ふるさと創生資金一億円を八つの地域振興会の計画にと、すべて分け与えたという。
これもまた大胆である。住民自治組織育成にかける思いは、ここでも際立ちを見せる。
「個」が主体の地域づくり。それは、家族――地域――町となる。
そして、この町のキーワードは「移動・交流・定住」である。
高宮町のパンフレットには「ほどよい遠さの高宮町」とある。
広島市から六十分、この地の利を活かした移動人口の呼び込み、小さなヨーロッパという国際交流や
町内外の交流、これらを経て最終目標は定住人口の確保だと、そう言い切る。
住民自治組織は要求型から次第に提案型への進展した。
「守る運動」から「攻める運動」へ。
川根地区でも「農地をまもる会」から「農地を育てる会」へと名称が変わったそうである。
地域提案型の町づくり。
「地域は下請け機関ではない」
「住民自治が確定していれば、町境などどうでもいい」
こうも説明者の言ったのが印象的であった。
生産基地に環境・景観をプラスしよう。そして生活の舞台を美しくしよう。
住民自らで自分たちの生きている庭をきれいにしよう。そのために自分たちの生活の舞台を高めていこう。
そんな願いで「明日の農業・農村フォーラム」も開かれたと聞いた。
住民自らによる住民自身の意識改革運動であり、敬服に値する。
ただ、折角の美しい日本の中国山間地にあって多自然型河川改修などに象徴されるヨーロッパ風な、
歴史と寸断されたような近代化の路線が気になるこの町ではあったが、第三セクターは見受けられない。
ただひとつの農業公社。
それは農地の利活用の斡旋のみを行う。実戦部隊になれば必ず赤字を出すからだとは卓見であった。
施設は行政がつくり、運営は住民がすべて行うという方式である。
どこか矛盾を感ぜざるを得ない複雑な気持ちと若干の疑問がどうしょうもなく残った。
それは例えば、補助事業なかでも中山間地域圃場整備の農家負担5パーセントという高率補助。
農地の流動化も町単独の多様な助成措置でもって行っている。
一般財源がそんなに裕福だとは思われないのに、それはどのようにして可能なのかという点である。
「どがするんや」
そういって、この町の農業委員は中山間農業の実態調査に乗り出した。
これまでの圃場整備から取り残された棚田の基盤整備を補助事業とするように2年前から取り組み、
農業委員と町議会産業経済委員との協議を行い、町行政に建議してその実行を迫っているとの話だ。
それはそれとして、10年前の構想を着々とそして営々と実践しているのは見事であった。
この粘り強さはただ者ではない。
感銘も受け、疑問も抱き、高宮町の役場を後にした。
企業誘致により創設したというニュージランド村に立ち寄った。
その日はたまたまかも知れないが、訪れた私どもの他には二〜三人のお客しかいない。
従業員の居ない店舗もあった。広大な敷地と莫大な施設投資を思わせるこの人口村はまるで過疎であった。
企業サイドの事、また他人事とは言えそら恐ろしく、一過性の施設投資の危険を思わずにはいられなかった。
それに近似した事例がわが町にはないだろうか。ふとそんなことが脳裏をよぎった。
その日の夜は、広島市で一泊。
昨年と同じ宿に着く。同じビヤ・ガーデンでのフレッシュ委員を交えての楽しい語らい。
そのひとときは、長い旅程の疲れを癒す。
この日の感想や抱負も聞かれる得難い一夜であった。その後はそれぞれの自由行動で詳細不明――。
その翌日――。
帰り道は遠回りして帰る。
そういえば、私たちを取り巻いた20世紀という時代は余りに急ぎ道だった。
私たちミレニアム農委は、
これからそれがどんな時代であるにせよ窪川町の21世紀の幕を開けねばならない。
車中、昨日の視察研修のことを咀嚼する。
そして、なお思わざるを得ない。中国山地のただ中でなぜ小さなヨーロッパなのか。
その多自然工法による地域づくりへの疑問。
そこに顕現するのは人工的に管理されつくした景観の唐突性である。
つまり、近自然というビオトープ作り(動植物が生息する環境の人工装置)なのだ。
いうなれば、そのものではなく、そのつもり、それらしさの世界である。
ここには何か、本当の歴史との違和感が拭えないのである。
今年から始まった中山間地域直接支払制度でも、
農村・農業の多面的機能のひとつとされているものではあるが、
私はそれ(人工環境)を四万十川のほとりの、弥生の里に許してはならないと思う。
多自然とか、近自然とかいうのは、畢竟、環境の人工化である。
それを支える装置が故障すれば、もともこもなくなる世界である。
自然の力は、そこではまさに砂上の楼閣でしかない。
そうではなく、
どこまでも生産や伝統に根を張った地域づくり、
地域に蓄積された時が実る美しさ、その風景こそ大切だと、つくづく思う。
ビオトープがいけないのではない。
小さなヨーロッパがいけないのではない。
そこに歴史的な必然性のないのがいけない。
ケ(日常)の営みから必然したハレ(非日常)。
ケに裏打ちされたハレでなくてはならない。
つまり、緑の島・日本の自然や歴史のなかの暮らしから育まれた地域空間や行事でなくてはならない。
盛夏の日差し。
しまなみ海道に入る。
瀬戸の海は凪いで鏡のようだ。こころも和む。
大山祇神社の境内を歩く。深い樹影のなかで一羽の雀に出会った。駄句がふと浮かぶ。
森閑にすずめの一羽遊びけり
宝物館を見学。
平安時代からの重要文化財の数々。本物の重さに今更のように感銘を受けた。
次いで海事館。
瀬戸内海の博物誌だ。美しい貝殻、美しい鉱石に目が洗われた。
即物的にではないが、昨日との対比で窪川のこれからを思うとき、何か大切なものを感じ取れたように思う。
四国に帰る。
寒風山の麓にチロリの森があった。一行をにわか雨が迎えた。
多くな山あいの深い渓谷。
そこに極めて小さなドイツが演出されている。
ここは点の施設で、大自然の呑み込まれ、さほどの違和感はなく、むしろほっとした感じである。
ひとときの涼をとることが出来た。
この視察研修の一泊二日の旅行。
この行事は、「共に考え合い共に行動する委員会」の連帯と親睦の成果を得ることが出来たように思う。
詳細の段取りと運営に当たってくれた事務局に感謝し、委員お互いにあい労い、今回の旅は終わった。
2000年10月
窪川町農業委員会では、
ニューミレニアムの節目に当たる平成12年の年度前期、窪川町の農業・農村における現状の問題点、
その克服の方向、その具体策について、全委員からの自由な箇条書き方式による提言を求めた。
以下は、基本的には提出された提言の原文を尊重し、それを課題別に分類・整理したものである。
時まさに、21世紀直前である。
総理府は本年10月7日「農産物貿易に関する世論調査」を公表した。
それによると、我が国がWTO農業交渉にあたって主張すべき意見として多く出されたものの上位は、
下記の通りになっている。
1、特に多いのが、食料安全保障の確保(71、8%)
2、次いで、国土・環境の保全など農業の多面的機能の維持・発展(40、8%)
3、続いて、いずれの国にとっても公平で公正な貿易ルールの確立(37、0%)
4、そして、国内農業維持のための、一定の補助金等の措置が必要(30、0%)
さらに、多面的機能を持つ農業を将来にわたって
「残していきたい」(92、7%)と、ほぼ全員が答えている。
この全国範囲においての国民的意見と、今回の委員提言は、期せずして極めて同質的である。
本会としては、この「窪川町農業委員・ミレニアム提言のとりまとめ」を土台として、
『窪川町の21世紀地域農政への建議』(「農委建議21」)を行う方針である。
@ 窪川町農業の現場・現状に於ける足元の最大の問題点は何か
@ 人の問題
後継者・担い手の不足と共に高齢化の進行する集落の危機がある。
〇過疎・高齢化に伴う後継者不足と高齢化農業対策。
〇農業後継者(担い手)の育成。
〇担い手育成・後継者育成への取り組みが窪川町農業の大きなカギとなる。
〇窪川町は今基盤整備が進んでいるが、それを支える農家の現状は老齢化と後継者不足が進み、
農業経常は深刻な問題となつている。
〇米作を中心にした専業農家の減少・・・担い手、専業農家は自分の経営管理で手一杯。
〇農家の嫁不足(何とか解消策を見出したい)。
A 農産物の輸入と転作の問題
開発輸入、自給率低下のなかで日本農業の方向性がつかめず、出口のない逼迫感がある。
〇農畜産物の無制限とも思える輸入に振り回され自主性を喪失しているように思う。
〇現在のWTOの見直し、「自国の食料は自国で守る」こと。
〇農畜産物の輸入自由化による価格の低迷。特に米の消費量の低下と輸入拡大より過剰在庫となり
年を追って価格の下落が続いている。また48%の転作は農家にとって大きな問 題である。
〇農畜産物の輸入攻勢と過重な転作面積配。
〇輸入農産物により国内価格が大きく下降変動している。セーフガードの早急な起動的な発動を望む。
B 地域農政の問題
安心して農業を行える社会環境と産地化が求められている。
〇耕種農家として、設備投資しても価格変動で皆大変苦労している。
長いスパンで安心して農業が出来るような政策を望む。
〇農業で食べていけるような政策、集落営農の振興、
生産調整(48%)はせめて全国平 均(38%)に近ずくよう運動を進めるべき。
〇窪川町の農業にあう経営作物(畜産も含む)選定・早期産地化の固定。
清流四万十にふさわしい環境保全型農業の推進が求められている。
〇国内は言うに及ばず世界を相手に競争して販売しなければならない今、小規模農家の多い中山間地では
肥料・農薬を最大限に使用して収量を上げるのも必要だが、消費者の安 全・食味・噴好の高まつている今、
農業政策はどうあるべきか。
〇米・野菜等の低価格に対処できる環境保全型農業の推進。
〇日本最後の清流と言はれた四万十川も年々汚れが進んでいる。
四万十川流域で最大の環境汚染問題と真剣に取り組む農業政策の確立。
米作りと土地条件の改善、農作業の受委託促進、農用地の規制緩和が求められている。
〇米を作りたいと思っている若者が多数いるのではないか。
〇早期の土地基盤整備の完了(地域のなかには、基盤整備の遅れがある)
〇農作業の受委託組織の強化を図り、高齢者農家の手助け、低労働・低コスト農業の開拓により労働時間
短縮・所得増収を図るべき。
〇農業に意欲ある若い専業農家・後継者の育成、また誰でも農業が始められる様に、農地の貸借・売買等の
規制を出来るだけ緩和し運用すること。
21世紀初頭における窪川町農業発展の展望と指針を示すことが強く求められている。
〇本町農業は町の基幹産業であり、町政の最重要課題である。
しかしここ数年来年間二百人前後の人口減少
となり、特に農業地域はこの現象が加速化しつつある。
老齢化、後継者(特に花嫁不足)等によることが原因であり、
更に農産物価格の低迷による若者の生産・経営意欲の低下など緊急に解決すべき課題が山積している。
これらを具体化した本町の基本構想を策定して
農業活性化を推進しなければ、本町農業の将来展望はない。
〇高齢化、担い手・後継者不足(農業経営主の高齢化率33.1%・H.10.6現在)による労働力 不足・農業所得
が低く、不安定で生産組織の弱体化があり、それと同時に共同学習の機 運が育ってない。
その解消対策が必要。
〇農業理念が乏しくピジョンに欠ける。
〇窪川町、町内農業者が目標とすべき指針を失っている。
〇現在行なわれている支援センターは大豆・ソバを中心とした支援となつてるが、もし、補償事業がなくなった時、
現状の大豆・ソバを作付けをする農家(面積)を維持できるか。
〇転作の為の転作ではなく、窪川を支える転作への転換が必要。
〇現実に即した営農類型と階層別所得目標の設定ができていない。
C 国の農政問題
国土政策としての中山間地域直接支払制度と需給政策としての米の生産調整との切り離しが求められている。
〇国の農業政策、特に減反を始め中山間地域直接支払制度などが問題。
〇中山間地域直接支払制度が実施されるにあたり、米の作付面積に関するガイラインとの整合性が図られる中
、窪川町として集落営農・集落協定をどう進めていくのか。
〇減反の緩和に向けての取り組み。それは将来的に農地保全にも必要。
D 集落営農の役割と範囲の明確化
及び団体機関間連携
〇集落営農の推進。(委託を担い手だけで集落を守ることが田来るか不安)
〇行政(町)、組織(JA.土地改良区)等との連携不足。
A その問題点は、例えばどのようにしたら克服できるだろうか
@ 『21世紀四万十環境保全型農業振興方策』 の樹立
〇 町の農業行政の基本となる肯定軸を決めること。
例えば《有機無農薬・低農薬栽培農業の町宣言》
〇 有機無農薬・減農薬栽培の普及。
〇 農業立町を目標にするのであれば、独自の特性を発揮できる農業・農家経営に取り組 むべき。
〇 窪川町農業は水稲を中心にして生姜や露地野莱等耕種農家と乳牛・肉用牛・養豚・ブロイラー等有数の
畜産の町であり、加えてえピーマン・ニラ・イチゴ・キュウリ等施 設園芸も多様な展開が出来ている。
しかし、消費地である大都市が遠距離というハン ディの上、輸入品等による価格競合で安定性を欠ぎ、
その結果が経営を不安定(中途 半端になりがち)にしている。
現今の食に対する都市消費者ニーズは、安全で安心で食味の良い物が要求される。
町が独自のカラーを出す事が出来るのは、
家畜堆肥の上手な利用による有機農法や無・低農薬の農産物栽培と全町的に取組み、
地域ぐるみで安心できる農産品を大都市のデバート・量販店につなぐ産直の道を開くこと。
〇 特に女性・青年(後継者)等の声を重視するよう配慮し、なるだけ幅広い形で意見集約を行う「活性化委
員会」(仮称)などを組織し、元気農家の提言をまとめ、これを、町長・議会等に進言して、具体化すること
が必要。
〇 町民の意志の結集した《農業理念と21世紀ビジョン》の策定。
〇 営農類型と所得目標の設定。新規有利作目の導入とその定着。集落単位の学習グループ育成。
きめ細かな技術・経営指導体制の強化(ヘルパー・人材銀行)。
21世紀は田園の時代ー。
農業立町である本町は、先駆けて田園空間の公共的価値形成に拍車をかけること。
A 集落農業を支える人材育成
〇 農業を中心とした基幹産業の振興。例えば、集落営農、地域営農の推進・担い手の育成
(各地区のリーダーの養成)。
〇 地域リーダーの育成(何をするにもリーダーがいなければ成功が難しい)。
〇 中山間地域直接支払制度については、行政が農家に十分説明をすること、
及び各業落にリーダー的な人材育成を行うこと。
〇 《1集落・1支援センター》的な集落営農が必要。
〇 経費節減の為、農業機械の共同利用・共同作業による大幅な労働時間の短縮。
〇 担い手や認定農業者を集落の理解と協力で育て上げること。
B 基盤作目の位置付けと作目の掘り起こし
〇 窪川町の立地的気象的条件と歴史的背景に適合した水田農業経営の確立。
その基盤的作目として
稲作を将来的にも揺らぐことなく位置付けることが大切。
そして、四半世紀後には確実に予測されている深刻な米不足に備え、
現下での水田農業の困難を、町行政の責任に於いて克服すべきこと。
〇 米を作りたい者には自由に作らしたら良い。
〇 米・生姜・ニラ・ピーマン・家畜などに続く、収益性の高い、
窪川町の立地・気象にあった作目の掘り起こし必要。
〇 海岸地区と台地地区の2つに分かれている為、それぞれの特色を生かした作物を考え強化すること。
〇 有機農業をめざした共同作業で、カボチャ・ジャガ芋・人参その他の野菜を作る。
C 作る喜び、育てる貴さの普及と啓発
〇 小・中学校等で農業の素晴らしさの講演や体験学習をして、作る喜びを知ってもらう。
〇 農業のおもしろさをアピールできるようなイベントで交換会などを開催する。
D 農業経営を守るための様々な視点
〇 自分の経営は自分で守る。
〇 行政・JA主導でなく、農家の生の声、生産部会等の意見集約をする機会を設ける。
〇 農業関係機関の指導力の強化。
〇 行政・JA・農家が真剣に話し合う委員会等を設立し、
三者一体となった取組み以外に現状を解決する道はない。
〇 行政・農協が今以上真剣になって、農家の所得向上と生活安定の手助けをすること。
〇 窪川町農産物のブランド化を推進して農産物の高価販売を行うこと。
B 窪川町の農業政策で特に今後も必要な具体策は何か
@ 地域農業の確立宣言と集落営農の組織育成
〇 地域の農業は地域で守っていく。・・・そのことを全町にPRすること。
〇 集落営農の推進。
〇 窪川町農業を守り、農地の確保をして行く為には、集落営農組織の育成
(大集落では複数の組織を作る)。
また集落で指導のできる優秀な認定農業者の育成を行うこと。
〇 町独自の基本構想の中で、モデル地区を設定する。その地区で新規作目を設定し試作園などを設け、
その運営を委託する。
また新規就農者の育成を進める為の援助体制を早急に整備する。
〇 今迄の国・県の補助事業は上からの通達で殆ど採択されているが、
今後は集落・地域や生産組織等による
独自の協議で計画を立て、これを具体化する為に国・県・町の補 助適用を図るように改革すべき。
(自主性尊重)
A 清流四万十ブランド農産品
四万十環境保全農法の創出
〇 環境汚染の1つに農業があると言われている。肥料・農薬の過剰使用は土・川・空気を汚染し食品安全上
の問題がある。
現在、消費者の間では食品の安全、食味が大きく取り上げられている。
その消費者ニーズに答え有利販売につなげて行く為に、町として安全性に適正な肥料・農薬の使用基準を
作成し、堆肥の使用も義務付けて、その基準に合格した農産物を
「清流四万十有機低農薬農産物」としてブランド化を図り、有利販売に取り組むことが必要。
〇 環境保全型農業の推進(畜産農家との共生)。
〇 農業・農村の多面的公益機能の基本には、自然生態系循環システム(特に水循環)がある。
それを保全し維持する公共投資は当然のこと。
B 次代に農地を守る農業公社設立の必要性
(水 田)
〇 農業公社、又はJAによる受託組織を作り、老齢により耕作出来ない土地を受入れ、
大型機械の導入・カントリー等の利用により経費節減に務め、1円でも多く農家に返していくこと。
〇 農地利用権等流動化を受ける担い手の組織化・作業委託の組織化等、地域の農業を維持する為の
町農業公社の早期設立及び公的支援の確保。
〇 担い手不足・高齢化は必然の結果であるが、土地の流動・集積・有効利用等の為には、
農業公社設立の要望が多い。−方集落営農や地域営農など共同、協業、共生の動きも出ている。
ただその場合、農家に負担になる組織はつくらないこと。
〇 近い将来、主要食糧の不足は自明。
そのとき、生産力の持続性が高い水田の価値は特に大きく見直される筈。
それに至るまでの谷間の懸け橋として、現時点では公的支援による農業公社運営が極めて重要。
C 関係機関連合による集中的指導・支援策の展開
〇 政治・経済・教育等あらゆる分野で改革が進んでいる中、日本農業も国際化の大きな転換期を迎え、
作るだけの農業から販売まで関わって行かなくてはならない。
その為にも、情報収集・販売戦略が重要になる。(IT化の推進)
〇 行政・JA・農家の相互協力のもとでの思い切った支援策が必要。
〇 集落営農・地域営農を早期に実現する為、各組織の縦横の連携を密にし、
故郷を守り育てる営農形態を早急に構築しなくてならない。このための集中的指導・支援策を講ずべき。
〇 農協、町行政、町議会、農業委員会に加え、県出先指導機関・普及センターなど
農業・農家にかかわっている多数の者が、今日の窪川町農業の不振の原因究明と改善のため、
有機的に機関連合して全力で取り組むべき。.
D 都市との、対決から交流への時代
〇 都会の人々を対象とした週末を利用した体験農業、
又は長期滞在型農業による都市との交流の場を作る。
〇 グリーン・ツーリズムを町内で。
〇 農業以外の職種の人々との出会いの場を多くつくっていく。(異業種間交流の促進)
E 後継者と高齢者、I・Uターンのために
〇 学校と地域住民が一体となり農業体験学習の場をつくり、
一名でも多く地元の残る若者の育成に努める。
〇 窪川町内の中学校、高等学校を卒業した若者が、地元に残り農業後継者が育つような
魅力ある環境づくりと共に有能な農業リーダーの育成に、行政が真剣に取り組むべき。
〇 元気な高齢者(経験豊かな人)を生き生きさす為に、共同作業で収穫された物をJA・道の駅等で
収穫祭をやり、食材・加工食品に使ってもらい窪川の目玉にするイベントの開催。
〇 Uターン・Iターン等の支援(遊休農地の解消)
〇 シルバー人材センターの元気なオールドパワーを農家の労働力不足に活かすこと。
F 補助事業等の充実
深い谷間にある農業者への所得補償や補助事業の充実が不可欠である。
〇 ほ場整備をさらに促進し、農家の経営耕地面積を拡大し、経営を大型化(共同化)して、
生産コストを低くすること。
〇 レンタルハウスとか、若者が農業を始める上に経営資金等の融資に力を入れる。
又、今迄の農業経営者にも積極的に融資の方面に力を入れること。
〇 認定農業者の認定条件の緩和と支援措置の拡大。
〇 強風にも耐え得る長期耐用ハウスの普及と助成措置。
〇 転作(本作)作物で農家収入の拡大をはかり、地域にあった作物を探し、
中山間地域直接支払制度のメリットが広範囲の及ぶような措置。
〇 生産調整(転作)緩和と直接支払い制度の円滑な実施。
〇 大豆転作を定着させる方法に農家自体も真剣に取り組み、中山間地域直接支払制度等を
もっと活用して、集落共同活動を振興すること。
G 地域農業のシステム化
〇 農業者・行政・各種団体の役割分担の明確化。
〇 農地の集積については、各組織が同じ土俵で物事に当たるべき。
〇 農業委員会は今のままで良いのか、各農家・関係機関が考え直す時期。
H 付記
内発的発展への地域主体的計画の在り方
地域の空間軸の設定
1、地域=基礎自治体圏域の姿
2、地区=小学校区単位のコミニティーづくり
3、集落=歴史的共同体の維持・保全
地域の時間軸の設定
1、事業完成後の課題
2、事業進行中の課題
3、事業未整備の解消
4、再開発への方向性
上記の空間軸・時間軸の交差点ごとに、展開すべき事業のニーズを住民のワークショップにより探り、定める。
その合意形成に基づき、足らざるを補い、さらに持続的発展への展望と道筋を明確にする。
以上、「窪川町の21世紀地域農政建議」(農委建議21)に向け、
今期の初頭にお ける窪川町農業委員の各提言の原文を尊重のうえ、課題別に分類・統合して、
それぞれ にわたり、概括的な項目により体系化を試みる形で取りまとめました。
2000年10月19日
会 長 市 川 和 男
第八章 町農業施策への緊急提言 もくじに戻る
農業政策に関する緊急提言
窪川町農業委員会会長 市川 和男
本町の農業・農村をとりまく情勢は、農産物価格の低迷や就農人口の高齢化・集落における過疎化の進展な
ど深刻な事態のなか、厳しさの増す一途にあることはご承知のとおりであります。
そんな中で,輸入農産物問題やそれに伴うセーフガードの制度見直しとその発動要請など国政レベルへの強力な
働きかけが切実に望まれるところであります。
その一方、よって立つ足下に於いて、もはや地域は地域で守るとの立場が緊急に必要となっております。
当委員会は、
明年度、貴職に対しまして「窪川町21世紀地域農政への建議」を
農業委員会等に関する法律第6条第3項の規定に基づき行う予定でありますが、
以上の観点から21世紀をそこに控え、ここにとりあえず下記のことについての平成13年度当初予算措置および
それに関する諸般の施策を講じて頂くよう緊急提言をもって切に要請するものであります。
1、窪川町農業公社の具体的経営方法を早急に提示されたい。
(例えば、営農総合センターで内臓すべき関係機関の機能一元化)
2、有機農業推進のために堆肥センターのサブ施設設置を推進されたい。
(耕畜提携農業の推進)
3.有害鳥獣被害対策をより一層充実拡大されたい。
4.本町の立地特性を踏まえ、減反の緩和に向けて鋭意努力されたい。
5.中山間地域直接支払制度の弾力的運用を図られたい。
6.町独自で農産物価格・経営安定対策を強化されたい。
7.農産物販売体制整備の支援を強化されたい。
ア、地場産品の販路拡大
イ、地産地消の推進
ウ、地場産品の宣伝・普及・啓蒙
8.集落営農組織の育成を強力に促進されたい。
9.認定農業者の認定条件の緩和と支援措置を拡大されたい。
(「基本構想」の現実的対応への見直し)
10.高齢農業者の生き甲斐対策を充実されたい。
11,土地基盤整備事業を更に手厚く継続的に展開されたい。
12.農業振興地域整備計画の区域について現状を土台に再検討されたい。
第三編 建議と提議
2001年11月
序 章 建議の精神
「国民のいのちを養う食料を、自分たちは作っているのだ」
かつては、これが、農民の覇気と誇りでありました。
そこに、農民は手をつなぎ、連帯してがんばってきました。
今、あらゆる職種に、強く自助努力が求められております。
未曾有の、歯止めなき世界的な自由競争市場の経済下で、自然と共に暮らす規模で生活をしてきた農民はあえいでいるのが現状です。
不透明な、展望のない世情が私たちを取り巻いているのです。
そんな状況の下で、わたしたち窪川町農業委員会は、昨年の「ミレニアム緊急提言」に続いて、この「地域農政21建議」を行うものですが、これは新千年紀に於ける「窪川町農業の四万十化による持続的発展」をめざし、生態系保全の循環型農業発展と大地に根ざす新たな農耕文化社会の再生に向かうため、この道標を提起します。
第一章 窪川町の農業公社の性格付けについて
窪川町農業公社の設立は、年毎に進行する過疎・少子・高齢化現象のなか、今後の優良農用地を保全し管理するうえで、本町農政の最大の課題である。
公社の立て上げについては、農業者の切実な要求をベースとする手堅いスタートを先ずは先行さすべきであり、また、その運営収支については、幾多の先進事例をみても明らかなように、充分な創意工夫を要するものと思われる。
現在、窪川町が策定している「しまんとアグリシステム」(試案)は,あるべき到達点とも思考されるが、深刻さの増幅しているデフレ含みの経済不況にある現在、当面においては、農家の現実的意向に準拠した緊急度の高い事業のみを選別し事業計画及び収支計画を精度高く立てるべきである。
なかでも、農地保有合理化法人の役割は大きく,農地の所有・利用権の流動化促進など公益事業部門と、少子高齢化・兼業化の進行するなかで農作業の受託事業部門は、両面欠かすことのできない機能であるが、公社の組織としては、そのふたつを機能別に切り離すことも考えられる。
例えば、営農支援センター機能の拡大方向で、稲作を含めた農作業の受託事業及び公社の自立的かつ自助的な独立経営促進の諸事業を行うこと。
そしてその一方においては,あくまでも公共的な側面の活動として、次代への農地を守り、担い手への農地集積を図りながらも、集落営農の進展に寄与する方向との有機的な連携を保ち、強化すること。
その基本スタンスを確立すべきものと考える。
また、公社の運営にとって極めて重要なことは職員体制であるが、役員及び職員の自律的な心構えと共に、諸種の農業技術を農業現場で修得させる職員教育、その蓄積によって公社の利活用エリアを拡大することなども必要である。
さらに重要なことは、国においても、食料自給率の向上と、470万へクタールの優良農地の確保は至上命題である以上、その観点から、過疎・少子・高齢化の中で、食糧供給の安全保障と次代にそのための農地確保を担保する市町村農業公社への、公的資金投入を、国に対して持続的にかつ強力に要請しなくてはならない性格のものであると考える。
※ 参考
2000年6月に「食料・農業・農村基本法実現のためのアンケート」で行った窪川町農業委員会の政策提言には、次のように書かれている。
「世界的な穀類不足、食料の安全保障など、国民的安心を担保するため、農地確保に対する公共的使命を果たす市町村農業公社への、新たな国の取り組みが必要であり、それと合わせ自給率向上のための価格支持政策も、今やさらに再考すべきである。」
第二章 窪川町地場産品給食センターの設置について
激化する国際自由競争の渦中、その流通経路のなかに意外な危険性が内在していることは現在特に消費者から指摘されている事柄である。
しかも20世紀的な資源の浪費を節減すべき世紀にあって、古来より言われてきた「身土不二」という思想が新たな視野から求められる。
すなわち、身体と土地は一体であり、自分の生きている大地からの贈り物としての食料がいちばん自分の体にも良いという考えである。
四万十川と土佐湾が本地域・流域を特徴づけているが、この圏域内の自給的流通は、これからの持続的発展の上で、ひとつの貴重な方向性を示すものである。
従って、その基軸のうえに、地産地消の促進、環境学習の体得、生命教育の浸透等を増幅させる「食育農業」の重要性を認識し確立する観点から、ひとつの先行的具体策としての、窪川町内における地域給食センター機能の存在は、きわめて今日的課題であると思われるので、その早期実現に向けて努力されたい。
なお、給食センター的機能は、旧町村規模のエリアを単位とするのが望ましいが、当面、窪川「道の駅」の施設利用による手法など、試行的ではあっても早期に着手されたい。
第三章 四万十環境保全農法の確立について
日本一の清流として今や公共的空間となった四万十川、その流れの貫流する四万十台地。
日本八十八カ所海水浴場に選ばれた県立自然公園興津海岸。
この清浄な土地で産まれる農産物は、安心・安全のイメージがよく似合う。
21世紀は環境の世紀とも言われる。
清らかな水に培われ、燦々たる太陽を受けて育つ,黒潮と四万十の自然と共生する環境保全型農業の最適地が窪川町であることの確認を基本に、自然環境生態系保全型農法を確立すべきである。
健全な水環境こそ、「金の卵を産む健全な生態系」、(内閣総理大臣主催【環(わ)の国づくり会議】委員提言)であり,四万十大地は最もそのステージにふさわしい。
自然生態系の健全な循環システムの復活と保持による農業所得向上を目指す「【環の農法】プロジェクトチーム」を早急に立ち上げ、窪川町の第4次総合開発振興計画で提起されている「環境保全型農業振興条例(仮称)」の策定とその農法の具体化を鋭意図られたい。
※ 【環(わ)の農法】という表現について
いうなれば「自然循環農法」を重視した地域単位の物質循環による持続可能な共生の生産技術への転換と発展がそのテーマである。
第四章 集落の「担い手養成塾」の創設について
21世紀の姿は、水と緑に象徴されるともいわれる。
その世紀での山紫水明を再び誇り得る日本の国の根幹は、どこまでも環境と調和した、いのちを育む農業である。
にもかかわらず、中山間地域の集落は、深刻な少子高齢化の波涛にあい、今まさに存亡の岐路に置かれている。
中山間地域の国土保全機能、農業の多面的機能を発揮するには、そこに人が要る。
土地と人を、農業を基軸として、強く、柔軟に結びつけること。その任務は、例えば本町農業委員会にも大きく課せられているが、農地の守り手・集落の担い手は本当に少なくなる一方という、けわしい事実が現前に横たわっている。
しかし、幾ら困難な現状の中にあっても、多岐にわたり、多様な担い手、つまり「土地と集落の守り手」を確保しなくてはならない。
特に、農業集落の運営は、専業的農業従事者はもちろん、兼業従事者や異業種従事者をも巻き込みながら、「集落リーダー」を養成すること以外に活路はない。
しかも、地域共同体の健全化と、そのための自立・自助・自律性の確保は、基礎自治体の緊急な責務である。
以上の状況のもと、今まさに人材育成は、行政の第一課題でなくてはならない。
この観点からあらゆる関係機関の総力を挙げて、上記「担い手養成塾」を早急に立ち上げるよう主体的に鋭意取り組まれられたい。
第五章 土地基盤整備・土地利用型作目に関する諸施策について
主要穀類の国内自給率向上による食料安全保障は、喫緊の課題である。
世界的な穀類不足が警告されているなかで、主要食糧の完全自給は独立国の必須条件であり、それを達成することは日本農業の使命である。
そのためには国内主要農産物価格支持政策が不可欠であることは、覚めて現今の状況をみれば極めて明白である。
果てしなき規模拡大路線、際限なき国際自由貿易の進行は、否応なく地域の自然環境・自然生態系の破壊、中山間地域の農業集落を支えている中小経営規模農家の困窮を誘発し続けている。
地理的歴史的に、土地利用型農業は本町の基軸である。
銅矛の出土が多い四万十大地に立地する本町は、弥生の里が地域的身上であり・本町本来の体質である。
一方、近未来的にアジアのコメ不足が特に指摘されるに至っているが、本町はその動向にいち早く敏感に対処し、稲作復権への対応を先駆けるべきである。このことを自覚し展望しなくてはならない。もはやすでにその時に狙いを定めた21世紀初頭に於ける「マルチ農業経営組織」の構築が急がれる。
また、土地を多く活用する作目への価格政策を張り付けることは、現下不可欠の対策であることを、本町のように農業を地域の生命線とする自治体は連合して、強く国に求められたい。
次に
公共的な土地基盤整備、特に自給率向上に向けた作目栽培がより出来やすくするため、汎用性のある土地条件整備を促進し、さらに「青線」といわれる農用地の水路や、「赤線」といわれる農道などの公共的農用地の改修工事については、すべて社会資本整備として、農家負担を課すことのないよう、同時並行して運動されたい。
続いて
本町の立地条件と現代農業技術に適合した作目検討のプロジェクトを早急に立ち上げられたい。当委員会としても、委員の圃場をそのための実習・実験・展示の用に供するなど積極的な参加と協力を行いたい。
第六章 窪川町独自の高齢者農業支援・高齢者就農支援事業の創設について
農の営みが生命・生存の原理を原則とする限り、その重要性はいつの世も不変である。
高齢者が心のふるさとを、心身のリフレッシュや安らぎのある健康な余生を、農の世界に求める傾向は、ストレス社会と言われるなかで、今世紀には一層強まると思われる。